2011.12.23 地域の特色ある「スマート温室」の創出

温室業の歴史は国際的には既に数百年を有するが、わが国における温室業の発展は実質30年にも満たない。国際市場で同業者の尊敬を得、利潤を追求する余地を更に拡張したいのならば、わが民族のシンボルとなる「スマート温室」を世界に提示しなければならない。

国際温室の発展が与えるヒント

現在、温室が国際的に人々に与える印象は、地域ごとの特徴が顕著であることと、典型的な地域シンボルをもつことである。長年にわたって温室に携わる人々の知恵とイノベーションを集約し、長所を充分に発揮して短所を避け、現地の不利な気候要素を克服し、有利な気候資源を最大限に発揮した結果、温室は不思議なまでに生産性の高い「機械」となった。

国際的な温室の発展傾向を見ると、そこにはいくつかのコンセンサスが存在する。まず、温室の省エネは新たな段階を迎え、省エネ温室の機構の研究、およびいかにして自然のエネルギー源を利用して環境を調節するかといった問題は温室建設における重点となっている。次に、温室における省エネと新しいエネルギー源の利用技術の応用は既に大きな流れとなっており、熱水銀・太陽光・風力などの新しいエネルギー源、ならびに温室自身を用いて熱の捕捉・収集・貯蔵・放出を行う省エネ技術は既に利用されてきている。最後に、総合的な設備セットと技術の広範的な応用により一人あたりの管理面積は日々拡大し、生産量が絶えず高まっている。わが国の大型連結温室は加熱に必要なエネルギー消費量が多く、運用コストが高い。一方で技術と装備のセットは貧弱である。

国外の温室構造には二つの大きな特徴がある。ひとつは骨組となる素材による遮光をなるべく減らし、同時に光源を増やす方法を多く開発したことである。例えば人工照明による光源補足技術を全面的に推進し応用している。もうひとつは被覆素材が一定の保温機能を持ったうえで、可能な限り光の透過性を高めたことである。例えば冬季において日光の弱いオランダでは、被覆の素材がほとんどガラス(保温+日光が透過)のみとなっている。わが国が自身の「スマート温室」を建造するにあたって、これらの方面で構想・設計してはどうだろうか。構造による遮光や被覆素材による遮光・汚れによる遮光を減らして日光の透過性を高めたり、保温・被覆性能を高めて自身のエネルギー貯蓄とクリーンエネルギー源を発展させ、化石燃料の利用を可能な限り減らしたり、環境を有効に調節し、極端な気温変化・日照不足・低二酸化炭素といった劣悪な環境が植物にもたらすストレスを和らげたり、作業における機械の割合を高め、農民の労働負担を減らしたりすることが例として挙げられる。

区域ごとの温室タイプのデザイン

中国の連結温室は主として日本・オランダ・アメリカ・スペイン・イスラエル・フランスなどの国を参考にしており、「万国博覧園」の性質を持っている。しかし同時に、わが国にはスマートな特徴を持つタイプの温室--日光温室--も存在する。日光温室は中国北部の主要な温室のタイプであるが、問題点も多い。例えば土地の利用率が低く、30-40%にとどまっていること、単位面積が小さく、大規模な生産に適さないこと、大量の土壌を消耗し、環境破壊が深刻であること、環境調節能力が低く、基本的に天任せであること、機械化程度が低く、労働力が必要であること、生産量が少なく、品質も低く、競争において劣性であることが挙げられる。

ひとつの地区の日照・気温などの気候要素は当地区の施設のタイプを決定し、風・雪などの気候要素は当地区の温室の骨組み構造を決定する。異なる地区の気候の特徴に応じて温室のタイプおよび建設計画を分析・制定しなければならない。例えばわが国の東北・華北地区は冬から春にかけて日照が弱く、温室の構造に対する日光の透過性の要求が高いため、光源を補う必要がある。西北地区は日光が豊富で、年間を通して基本的に光源を補う必要はない。東北・西北地区は平均して5ヶ月以上にかけて加熱する必要があることから、温室構造の保温性に対する需要が高い。これら三つの地区は平均して5ヶ月間、通風あるいは冷却による環境調節を行う必要があることから、温室構造に対する冷却・通風機能の需要が高い。当地域では革新的な日光温室が主流となるが、一方で連結温室では保温と省エネ調節がより考慮される。わが国の南方は冬から春にかけて日照が弱いため、温室構造に対して日光の透過性が大いに要求され、光源を補う必要がある。当地域は年間を通して気温・湿度ともに高いため、温室構造に対する冷却・通風(自然通風)機能の需要が高い。また、中南部地区は冬季の気温が低いため、果物・野菜類の作物には加熱が必要となる。当地区の日照は地中海地域に比べて弱く、夏季の気温はオランダより高く、湿度も相対的に高いため、日本とオランダの温室構造モデルを参考に、中国特有の温室構造システムを構築するのが良いだろう。

日光温室革新戦略

日光温室は中国特有の温室構造形式であり、未来においてわが国が世界の温室の分野に対して貢献できる重要な方向である。そのため、わが国の日光温室の構造および使用されている現状に対し、その革新・発展モデルに関して分析・議論し、現実的な戦略・計画を制定すべきである。戦略1:壁体素材をよりいっそう革新しなければならない。現時点において、わが国の日光温室の壁体は蓄熱層と隔熱層の二つの部分から成り立っている。蓄熱有効層はわずか30センチメートル前後しかなく、残りは隔熱層である。現在、壁体から放出される熱量は壁体熱輻射量の1/8-1/10しかない。したがって、今後の壁体は断熱性の良い(軽量かつ単純な)素材と蓄熱量の大きな複合材を組み合わせて成形すべきである。戦略2:単体面積はよりいっそう拡大する。日光温室の二つの顕著な特徴は、壁体の保温・蓄熱と外部被覆部の夜間保温である。今後もこれら二つの特徴を利用すべきであるが、利用形式に違いが生まれる。将来、日光温室の1棟あたりの面積は1200-1500平米となるが、大型化の問題の解決には更なる知恵が必要となる。戦略3:環境調節と設備セットの配置と応用。温度・日照・二酸化炭素などの環境調節措置は日光温室において広範に応用されるべきである。耕作・植物保護・灌漑・施肥などの器具は普及し、推進される。関係者には日光温室の革新を通じて温室を更に「スマートに」し、ひいては中国の農民や世界の温室技術の発展に更なる貢献ができるよう希望する。

(筆者は中国農科院施設農業研究センター主任)