2012.01.30 日韓施設園芸視察見聞

最近行われた日本・韓国の施設への視察のなかで、我々は、わが国の温室業界が技術および生産管理の面において、いまだに国外と大きな隔たりがあることを実感した。今回の実地調査において、国外の温室には多くの洗練された作法が取り入れられており、わが国の温室設計・建造および栽培管理の従業者が思索・参考するに値することを我々は知った。温室の建造と生産においては細部により多くの気を配るべきであり、細部から着手して生産管理と設備を補完し、建造費と生産コストを削減し、コストパフォーマンスを高め、温室建造と生産をより専門的・正確的・精密的にしなければならない。

温室設計のヒント

現在のところ、日韓両国はともに温室保温機能の技術改良に関して充分な研究を行った結果、温室の密封性を改善しただけでなく、寒い季節には二枚さらには三枚の外壁を用いて保温を行っている。日本において、温室は二重壁の構造を用いて保温機能を高めているケースが多く、二枚壁を多く見かける。また、二層の保温シートには夜間に水を吹き付けて温室の保温機能を高めており、他にも多層保温や壁面内保温の技術が利用されている。韓国のビニールハウスで用いられている保温方法は我々に大きなヒントを与えた。たとえば屋根には厚いビニール膜や保温マット、多層保温技術が利用されており、温室内の壁面の保温には単純なシートではなく、保温効果のより高い保温マットが使用されている。他にもハウスの屋外の部分に対する保温を強化し、蓄熱機能を高めて寒い季節におけるビニールハウスの使用可能期間を延長している。

外国では、栽培環境を改善し、商品の生産量と質を高めるため、あらゆる方面で精力的な模索を行っている。以下に温室建造コストの削減などの面において参考すべき新しい手法を紹介し、わが国の温室設計従事者が新商品や技術開発の思考回路を発展させる際の参考としたい:ビニールハウス外壁の通風にはソーラーパネル駆動式のローラーが使われており、我々が使用してきた手動ローラーに比べると、このように代替エネルギーを充分に利用した自動制御の手法は作業効率を高め、設備管理の正確化と人件費の節約に役立っている。日本の温室内では雄バチに授粉をさせており、作業量を削減している。日本は土地の不足に直面しているため、海上農場を開発し、屋上スペースを充分に利用して屋上温室を建造し、アイディア農法の新しい方向性を切り開いている。筋交いコネクターを用いて負荷過多によるビニールハウスの壁面の崩壊を未然に防止する。温室の一角にコンピュータールームを組み立てて精密な制御を行う。わが国でよく見られる円柱型の苗床ではなく、韓国で使用されている新型の二層栽培床は大径間の構造で土壌に対する負荷が小さく、金属の使用量も少ないためコストが低い。また、ある種の新しい壁面通風方式では、固定された通風口からの通風が均一であるだけでなく、外観も非常に良い。壁面のデザインを流線型にすることにより、風の強い地域におけるハウスの耐風性が向上する。この他にも、経営スタイルでの新たな試みとして以下のものがある:日本は農協の代理する直販形式を通じて園芸商品の販路の問題を解決している。専門コーナーを設けて高級な園芸商品を販売する。グレードごとに園芸商品を包装し、異なる利潤空間を確保する。また、園芸区域の設計の参考となる、直売所を設立して行う産地販売などが挙げられる。

植物保護は細部から

日本は植物保護技術の研究と応用を非常に重視しており、通常は同一の温室内で多項目の技術テストを行って適切な技術・手法や設備配置を選び、細部の規定から施設の生産を改善する。彼らは技術改良を通じて温室環境の調節力を高め、病虫害を減らし、既にコスト制御の面で良好な結果を得ている。以下に病害・虫害を防止するためのいくつかの新しい方法を提供し、わが国の温室栽培および設計・建造の従事者が新商品・新技術・新スタイルの研究開発および生産・実践を行ううえでの研究材料および参考としたい。

防虫はまず屋外から始めなければならない。植物の保護は屋外から始めるべきで、病虫害が屋内に侵入した後で生産スタッフが撲滅を検討すべきではない。わが国の防虫施設は基本的に全て屋内にあるが、我々が日本で視察した際に最も頻繁に目にしたのは屋外に建てられた防虫施設であった。防虫網・粘着板が温室の外に設置された事実はわが国の温室防虫に対する最も大きな啓発となった。第一の防壁は温室の外に設置された粘着板で、温室に侵入しうる有害生物を屋外で捕える。第二の防壁は温室入り口からの有害生物の侵入を抑制することである。具体的には、温室の出入り口に敷居を増設したり、温室の通風口に防虫網戸を設置したりして、有害生物が温室に侵入する可能性を最大限に低く抑える。第三の防壁は生産区域の入り口に控え室を設け、ジッパー付きの可動式のれんを設置して出入りするたびに開閉し、温室に侵入した害虫が作物と接触する前に隔離して撲滅することである。第四の防壁は屋内に各種の殺虫設備を設置し、生産区域に侵入しうる害虫を撲滅することである。このような物理的防護措置はコストが低く操作が容易であるとともに、農薬の使用量を減少させ、防護効果も顕著である。

植物保護の観点からすると、温室への灰塵の持ち込み禁止は病虫害の伝播を遮断する有効な手段である。有害な病気・昆虫の侵入を厳しく抑制する他に、人員の流動を可能な限り減少させることも温室内の病虫害の抑制に高い効果をもたらす。この方面における日本の措置は大いに参考すべきである。具体的には、控え室での靴の履き替え、衣服に対する送風、見学者の防護服の着用(全身、少なくとも頭髪)などが含まれる。これらの手軽な対策の効果はまずまずで、わが国の生産管理従事者にとって良い啓示となる。この他にもいくつかの細かい点がある:温室内で二酸化硫黄薫蒸を行う際、薫蒸器に蓋を被せ、ビニールシートの使用寿命を延長する。温室内の傷んだ枝葉を集中的に回収して処理し、菌の繁殖を抑制する。わが国で広く使われている「カード式」の防虫板とは違い、日本の温室内で多く使用されているのは帯状の防護板(粘着性帯状板)である。我々が普段使用している防虫板は面積が小さく、経時劣化によって湾曲したり、粘性が低下したりすることで防護効果が低下するが、帯状の防虫板は面積が大きく、防護効果が安定している。これらの細かい点は一見目立たないが、農薬使用量や温室運営コストを削減する効果は顕著である。

(筆者は農業部規劃設計研究員設施農業研究所研究員)