2012.05.07 ヨーロッパの経験を引用した現代的な苗木栽培の推進

どこまでも続く苗木畑、整然と並んでいる樹木、現代化された生産設備……写真でも実際に見ても、ヨーロッパの国々の苗木畑に多くの専門家は感嘆せざるをえない。それらの新しい品種や先進的な理念、科学的な管理は古くからわが国の苗木畑のモデルであった。最近、北京で開催された中国・ヨーロッパ苗木発展研究会に、ヨーロッパの著名な苗木畑の管理者、国内の植物専門家、および苗木業界の関係者が一堂に集い、苗木畑の発展の経験や中国苗木業界の将来における発展の方向性について議論した。

品種をより豊富にそろえなければならない

「ベルギーのチューベローズには400を超える品種がある。しかしわが国の庭園で広く用いられているチューベローズは2、3種にすぎない。ドイツのバーデンでは8000種ものロサ・キネンシスが栽培されているのに対し、わが国の主要なロサ・キネンシス産地である河南省の南陽でも数百種しかない。」と前北京植物園園長、張佐双は言う。ヨーロッパ諸国の苗木畑における種類の豊富さに対し、わが国の多くの苗木畑は大きく遅れをとっている。

本研究会の席上で、イタリアの(万木奇)植物公司の国際営業総責任者であるレオナルド・リッピ氏が観客に対して高木196種類、潅木405種類、ツタ属84種類など、自社における苗木畑の生産状況を披露し、様々な品種の写真と生き生きとした紹介を組み合わせて臨場感溢れる演出を行った。ヨーロッパでは、大規模な苗木畑は大学や研究所と密接に提携しており、顧客の需要を満足させるために新しい商品やコンセプトを絶え間なく提供するとともに、植物の応用や2、30年後への影響の研究にも注力している、とリッピ氏は言う。同時期に開催された第14回国際花卉博覧会では、(万木奇)植物公司が展示した多種多様なマツ属の植物も広く注目を浴び、リッピ氏は、「これは典型的な地中海植物で、中国の華北地区での生産や応用に非常に適している」としている。

この状況を改善するには、植物品種の導入・選択・栽培に力を入れなければならない。張佐双によると、近年、北京植物園は多くの品種を導入しており、たとえば日本からの照手桃や菊花桃、ベルギーからの密冠?矛(Euonymusalatus'Compact')、韓国からの金叶??(Forsythia 'Koreanna''Sawon Gold')、アメリカからの金叶?箱果(PhysocarpusopulifoliumLutein)、ドイツからのトウネズミモチなどがある。ボケの品種だけでも、北京植物園が1990年から現在までに導入した品種は60に上り、現時点では11品種が大量出荷可能である。「これらは全て厳選された品種であり、たとえば『照手桃』はトリミングを必要とせず、コロニーで成長し、適応性が強い。密冠?矛(Euonymusalatus'Compact')は北京では秋に葉が赤くなり、景観効果が高い。トウネズミモチは国内の多くの地域で既に応用されており、ウルムチなどの辺境にまで広められている。」

張佐双は、新品種を開発・導入する過程では知的財産権の保護を高度に重視しなければならない、としている。海外における品種権保護意識の強さの一例として、前世紀90年代、ドイツの植物専門家シモン博士が張氏から中国のタケを導入し、帰国後、自主的に張氏のもとへ新品種のトウネズミモチを届けた。「彼らは植物品種の知的財産権をとても尊重しており、交換または買い取りの手法で新品種を入手している。一方、中国の苗木業界関係者の意識は非常に薄い。」と張氏は言う。

品質・収益こそ「中心」である

「苗木栽培において、最も重要なのは土壌である。中国にある多くの苗木畑の土壌は鉄の棒も刺さらないが、ヨーロッパの苗木畑の土壌は竹の棒でも深くまで刺せる。」研究会の出席者のうちヨーロッパ諸国の苗木畑を視察したことのある人物はみな、ヨーロッパの苗木畑が苗木の品種の数量や品質に強い関心を持っており、特に商品の品質面において、その栽培技術と管理経験はともに国内の苗木畑にとって参考になることを痛感している。

レオナルド・リッピ氏は、ヨーロッパの苗木が容器化の傾向にあり、容器化栽培を取り入れた苗木は年間を通して栽培・移植が可能であり、これが中国と大きく異なる点であるとしている。(万木奇)植物公司はヨーロッパの著名な苗木生産企業であり、植物をより健康な状態に保つために、当苗木畑にある多くの品種は4、5年ごとに移植しており、同時に根のトリミングも行っている。「細心なトリミングと保護こそがカギであり、多くの植物は根のトリミングを行わなければ売り物にならない。」リッピーは、商品となる苗木は通常「特級」と「二級」に分けられ、「二級」の苗木のサンプリングで品質に問題が生じれば、苗木畑に戻って引き続き生産しなければならない。(万木奇)植物公司は販売量が毎年10-20%のペースで増加している状況においても、「特級」苗木の販売にこだわっている。

一方、ヨーロッパの苗木畑における機械化作業の普及や職員の全面的な養成もその急激な発展の主要な原因である。(万木奇)植物公司では、造型に大量の人員が投入される以外、大部分の作業は機械に切り替えられている。当社では職員一人あたり25ヘクタールの苗木畑の管理業務を任されているが、この職員は水・肥料の管理から苗の栽培・収穫、機械設備のメンテナンスに至るまで、苗木畑の生産管理のあらゆる方面に精通している。素人から生産グループの長に育つまで10年近くの歳月を要する。

ヨーロッパ諸国の先進的な苗木生産は、わが国の苗木産業に多くのヒントを与えている。わが国の一部の苗木生産者は、長年の苗木生産の経験を土台として、ヨーロッパの先進的な苗木畑を参考にすることにより、徐々に現代化の方向へ発展してきている。蕭山花木協会事務総長の瀋偉東によると、3年近くで全ての区域に計20種あまりの植物品種を導入し、オオカナメモチや金森女?(Ligustrum japonicum'Howardii')・金叶六道木(Abelia grandiflora'Francis Mason')・花叶?石(Trachelospermum jasminoidesFlame)・小丑火棘(Pyracantha fortuneana'Harlequin')といった新品種の大規模生産を実現し、年間あたり新品種の花・潅木苗を1.5億株生産しているという。緑化苗木生産における噴霧灌漑・点滴灌漑の利用は徐々に広まっており、生産効率が大幅に上昇した。

張氏によると、現代的な苗木業の確立の推進はわが国の苗木産業の発展における主要な課題であるという。産業発展スタイルの転換および苗木産業の品質・収益の向上を中心に据え、苗木品種のイノベーション・技術開発と普及・生産経営・市場流通・社会化サービス・苗木文化という6つのシステムの構築に注力しなければならない。これによってはじめて、わが国の苗木業はヨーロッパに追いつき追い越し、現代化を実現できるのである。