2012.05.28 ミニ国家はいかにして緑の魅力を発信しているのか

-シンガポールの緑の建築委員会主席、戴礼翔を訪ねて-

先に北京で開催された第8回国際緑の建築大会にて、シンガポールの緑の建築委員会主席、戴礼翔が招待により緑の建築フォーラムに参加し、シンガポールの環境建設について講演を行った。閉会後、記者は戴礼翔に対してインタビューを行い、魅力の国であるシンガポールの都市発展の行方を探った。

危機意識のもとでの賢明な選択

シンガポールに行ったことのある人ならば例外なく、この国の緑化された美しい景色に魅了される。この国がガーデン・シティを建設した経験を振り返り、戴礼翔は、シンガポール政府の効果的な指導が最大のカギとなった、としている。戴礼翔は、シンガポールは猫の額ほどの土地しか持たない国家であると率直に述べ、危機意識こそがこの国における国民教育の主要な内容であるとした。戴礼翔によると、1965年にシンガポールが建国した当初から「ガーデン・シティ」建設という戦略を確立したという。「考えてみてほしいが、貧困で資源を持たないミニ国家がどうすれば外資を誘致できるのだろうか?植樹・造林を通してシンガポールをガーデンに変えてしまうのは実行可能かつ効果的で経済的な戦略である。そこでリー・クアンユー総理が自ら全島の国民を率いて植樹・造林を行った。大々的に緑化を行うことはシンガポールの国策であるだけでなく、我々は異なる発展期に異なる環境緑化やメンテナンスの明確な目標を持っていた。」と、戴礼翔は言う。

前世紀60年代、シンガポールの緑化の目標は、緑化でシンガポールを浄化することだった。70年代には道路の緑化計画を策定し、カラフルな植物の利用を強化した。80年代には果樹の植樹を始め、より多くの色鮮やかで香りの濃い植物種を導入した。90年代には生態バランスを取った公園の建設を行うことで維持管理費を削減し、各公園を結ぶ回廊の建設も始めた。シンガポールの法律では、ガーデンのある住宅が壁を作らず、通行人が植物を楽しめるようにすれば不動産税が引き下げられる。経済発展と社会の進歩により、前世紀80年代のシンガポールはアジアのNIEsの一員となり、他のNIEs構成国と比べて「ガーデン・シティ」の名刺を持っていたためより多くの投資を呼び、観光業も急速に発展した。

新時代の傑作

21世紀に入って、シンガポールは新しい計画を立ち上げた。その主張は、より高いビルを建てることで都市を横向きではなく上向きに発展させ、立体ガーデン・シティをシンガポール都市緑化の新しい目玉とするものである。国家建設局は緑の建築の基準を制定する際、屋根や壁面、ベランダなどの緑化の指標を明確に打ち出しており、この基準を達しない限り関連の補助を得られない。このプロジェクトを推進するために、シンガポールは国家公園局の下に専用の空中ガーデン管理センターを設置した。このセンターは4人体制で運用され、毎年関連業務の立ち上げやチェック、評価を行い、ベランダ緑化や屋上ガーデンを発展させるため様々な優遇政策を採っている。たとえば高層ビルにガーデンを造営する業者に「都市ガーデン賞」を授与する、ベランダのスペースの制限を緩和し、家主が「空中ガーデン」を造営できるようにする、などである。これらの政策法規が発表され、厳格に施行されたために、高層ビルが林立する現代化都市の中で、シンガポールはその美しい空中ガーデンのおかげで再び頭角を現した。中でも最も有名なのはシンガポールの新しいランドマーク、マリーナベイ・サンズの地上から200メートルの屋上に建設された大型「空中ガーデン」は、ハイテク建築技術と緑化技術を巧妙に組み合わせたものであり、新時代シンガポールの傑作と呼ぶにふさわしい。

「都会の住民が大自然に憧れるなら、我々の都市を大自然の一部にすれば良いのではないか?」という考え方に基づき、長年にわたる都市発展の研究成果と結びつけて、戴礼翔はさらに都市造林という新しい考え方を提起した。シンガポールは現時点で既に美しいガーデン都市を有しているのだから、次の目標は必然的にこの都市を最も自然環境に近い都市、すなわち森林都市に作り変えることだという。この他にも、緑というハードウェアだけでは問題を半分しか解決しておらず、ソフトウェアの管理にも力を入れなければならない、と戴礼翔は考える。中国では大木の都市への移植やスピード緑化といった形式的な緑化しかみられない原因としては、やはりグリーン文化に関する市民の素養が依然低いままであることが挙げられる。緑化の目的は将来の環境を作るための基礎であることを国民に宣伝しなければならないし、持続可能な発展という考え方のもとで事を進めなければならない。中国だけでなく、シンガポールのグリーン文化の道のりもまだ遠い。現在のところ、グリーン文化の定義はまだ欧米のハイテクを主としているが、我々は地域の特徴に合わせて、アジアの文化と歴史の観点から独自のグリーン文化を発展させなければならない。