2012.10.22 ベトナム花卉市場訪問紀行

ベトナムはインドシナ半島の東部に位置する国で、北部は中国に接し、ASEANの一員である。2010年に中国-ASEAN自由貿易地域が全面的に始動して以来、中国・ベトナム両国の花卉貿易は日ごとに緊密になり、毎年大量のベトナム産キク・ランが雲南省・広西省などに販売されており、一方わが国のユリ・コウシンバラほか多くの盆栽植物もベトナムの祝日花卉市場の重要な補充元となっている。これ以外に、ベトナムの安価な労働力や土地コストも、多くの中国花卉生産企業の注目を集めている。中国・ベトナムの花卉に関する協力関係の将来像をより深く模索するため、記者は先日、ベトナムの花卉市場と生産基地を訪問した。

現地時間の朝6時にベトナムの首都ハノイに到着すると、記者はその足で花卉の朝市に向かった。明け方3時から8時までの朝市は既に終盤だが、市場で花を買う人の客足が途絶えることがなかった。朝市の規模はさほど大きくはなく、昆明の斗南卸売市場の三分の一程度だが、生花や葉物の種類は比較的そろっていた。市場にある花卉商品の大半はベトナム産で、コウシンバラの切花やキク・ユリはハノイ周辺の村で生産されたもの、洋ランおよび一部の小菊品種はサイゴン地区のダラット産である。ハノイの花卉は主として露天栽培である一方、ダラットは一年中花を産出できるうえ外資系企業も多いため、施設の条件はハノイより優れている。

アーロンはハノイの花卉市場でも経営規模が比較的大きな卸売業者であり、毎年昆明から大量の商品を発送している。「ベトナム国内産の花はランク分けや統一したパッケージングを行っていない。国内で消費される生花のほとんどは農家によって産出されているが、その量は多くない。総合的な品質は昆明市場のD級、E級の商品に相当し、品質・価格ともに比較的に低い。外資系企業の商品や輸入花は主として祝日の消費に供されており、日常的に消費されるもののうち高品質の商品の割合は非常に小さい」とアーロンは語る。

地域経済一体化の傾向に影響され、あるいは自由貿易地域の優遇政策に魅せられ、ベトナムは多くの中国花卉企業の注目を集めた。主要な関心の対象はベトナムでの生産コストである。記者がダラット花卉栽培協会の責任者から入手した情報によると、現在、ハノイとダラットの二大花卉主要生産地域における土地の年間賃借料は6.67アールあたり400-500人民元で、600元も出せば条件の良い土地を借りることができる。また、栽培基地スタッフの月給は1000人民元から1500人民元の間であるという。低い生産コストは既に、オランダ・タイ・中国などの花卉企業の投資を呼び込んでいる。

昆明とハノイを長年行き来している花卉商で、中国在住のベトナム系人である黎常は次のように語る。「現在のベトナムの花卉生産水準は前世紀90年代末の雲南によく似ている。経済発展の水準や気候条件、および産業を取り巻く環境は取り立てて突出しているわけではないが、ベトナムの高い花卉消費能力は中国の花卉商にとって羨望の的である。農村か都市かを問わず、ベトナム人には旧暦の正月と小正月になると必ず花を買う習慣がある。ベトナム政府が過去に行った調査によると、庶民の毎年の花卉消費は収入の15-20%に達しており、中国の数倍あるいは十数倍に達している」

ハノイの市街地を歩いていると、記者もベトナム人の花卉に対する情愛を体感することができた。ほとんどすべての道路に花屋があり、少ないところでも1、2軒、多いところでは3、4軒もあった。店やレストランの仏壇にも必ず小菊・ユリ・サンデリアーナなどが供えられている。ベトナムでは仏教が盛んに信仰されているため、仏花の需要も膨大である。生花輸入を主要な事業としている花卉商のアーチャンは、「日常的な消費のほか、ベトナムでは祝日の花卉の消費も大きな比重を占めている。中国と異なるのは、ベトナムではバレンタインデーにおける花卉の消費量はそれほど多くはなく、毎年もっとも花卉が消費されるのは旧正月、3月8日の国際女性デー、10月20日のベトナム女性デー、および11月20日のベトナム教師の日である。これらの期間中、ベトナム政府および民間組織主催のイベントが非常に多く、花卉が大量に消費されるため、花卉の価格が上昇する。ハノイではかつて、昆明産のユリがひと束300人民元余りという法外な値段で卸売りされたこともあったが、祝日の平均的な消費水準はおおむね中国の上海や香港の市場に相当する」と語る。

数日間の取材の中で記者がもっとも直感したのは、ベトナムの花卉産業の開発度はまだ低く、従業者もやや保守的ではあるものの将来像は非常に明るく、中国の花卉商にとってベトナムはチャンスに満ちた土地であるということだった。ここ数年間、国境貿易は日に日に栄え、自由貿易地域における関税撤廃などの政策により、ベトナム向けのわが国の生花および球根・種苗の輸出が急増していることから、将来のベトナムはわが国の花卉企業の投資・生産地の候補であるとともに、わが国の花卉製品の重要な輸出先となることが期待される。